第18回日本抗加齢医学会総会

会長挨拶

 この度、第18回日本抗加齢医学会総会を近畿大学医学部奈良病院皮膚科・近畿大学アンチエイジングセンターが担当させて頂くことになりました。思い起こせば、近畿大学にアンチエイジングセンターを作って頂いて10年になります。医学部、薬学部、農学部、運動系、建築学部などの多くの方々と実践をめざしてアンチエイジングセンターが組織されています。このタイミングで総会をさせて頂くのは大変名誉であるとともに身の引き締まる思いでおります。会員の皆様に謹んでお礼申し上げます。

 抗加齢医学の基礎研究が大変重要であるとの認識は、社会的にも理解されてきたように思います。この学会の存在意義は、実践的・横断的な学問として社会に役立つことでもありましょう。もちろん適切な論拠にしたがった実践が必要であることは当然です。基礎研究者から臨床の実践者まで、多彩な領域の人たちに満足していただける総会ができるよう努めたいと思います。

 抗加齢医学では、運動・食事・精神(脳)にわたって、包括的なテーマに興味が持たれています。筋トレや有酸素運動、NMNをはじめとする代謝回路、ミトコンドリアを中心とするエネルギー問題、睡眠や脳機能と腸脳相関に代表される、臓器連関などが扱われています。他の学会で同時にはなかなか聞けない各領域の進歩を、一つセッションで知ることができるというのも、この学会の分野横断かつ職種縦断という特徴ならではと考えます。現に、疾患と、老化を分離することが難しい場面も出てきました。エクソソームやエピゲノムや遺伝子の重要性から、予防医学、精密医療、個別化医療も更に大きなテーマとなっております。

 また、本学会の分科会である見た目のアンチエジング研究会にも光を当てたいと思います。エクソポゾームという、生体はすべての外部環境との関係で成り立っているという概念にスポットを向けると、抗加齢医学は、環境問題ということにも注意を払う必要がありそうです。住環境(光、音、空気、化学物質など)などの環境も重要でしょう(腸内や皮膚表面の生物叢も外部環境です)。これらは、エピゲノムの研究が進んできていますので、この観点からも皆さんで勉強してみたいと思います。今回もプログラム委員会のおかげで、素晴らしい内容となると信じています。

 運動・食事・精神(脳)・環境という領域について基礎と実践が科学的に、この学会でさらに進むことを期待したいと思います。


第18回日本抗加齢医学会総会
会長 山田 秀和

近畿大学医学部奈良病院皮膚科教授
近畿大学アンチエイジングセンター副センター長

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