第32回日本耳科学会総会・学術講演会 第32回日本耳科学会総会・学術講演会

会長挨拶

第32回日本耳科学会総会・学術講演会
会長 山岨 達也
東京大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学教室

この度、第32回日本耳科学会総会・学術講演会を令和4年(2022年)10月19日(水)~ 21日(金)の3日間にわたり、東京大学担当、開催地は横浜とさせていただくことになりました。本学会は1991年に日本臨床耳科学会と日本基礎耳科学会の統合により設立され、現在は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会関連学会のなかでも有数の会員数を誇る学会となっています。ご承知のように、当教室は長年にわたり耳科学に関する基礎的・臨床的研究を行い、本学会の発展に寄与して参りました。総会・学術講演会については野村恭也先生が第1回大会(日本耳科学会臨床学会)を、加我君孝先生が第9回大会を担当しており、今回の大会は23年ぶりの担当になります。私自身は1984年の第12回日本臨床耳科学会での発表以降、学会統合以前から毎年継続して本学会に参加して参りました。この伝統ある本学会を担当させていただくことを大変光栄に思っております。

本学会では、耳科学の様々な魅力を多くの会員に伝えつつ、充実した学会にしたいと考えております。学術講演会の日程は多くが3日間、多彩な内容が企画されるようになりました。幅広い領域を含む当学会では必要なこととも考えますが、従来当学会の学術講演会は2日間で開催されており、特別講演やシンポジウム等の企画を絞り、会長の臨床または基礎研究の背景を反映した学会となっておりました。この結果、毎年異なる内容の企画が組まれ、数年後に同じテーマが取り上げられた際にはその間の進歩がよくわかるようになっていました。今年の学術講演会は木金の2日で行い、過去の2日間開催の学術講演会を参考に、テーマを絞った特別企画を組み、その上で会員からの提案企画を取り入れる予定です。

特別企画ですが、海外招待講演はミシガン大学クレスギ聴覚研究所所長のGabriel Corfas氏に「Multiple etiologies and mechanisms of hidden hearing loss」をお願いしました。国際セッションは従来の日韓セッションに台湾を加えた日台韓セッションとし、その他アジアセッションも検討中です。シンポジウムは、基礎研究では「細胞・組織の機能から考える内耳障害」、臨床では「一側性感音難聴への対応」を、パネルディスカッションでは「人工聴覚器の適応:迷う症例にどう対応するか」および「手術困難症例の対応:中耳腫瘍・真珠腫」を取り上げます。またテーマセッションとして「好酸球性中耳炎の基礎と臨床」「TEESの限界と今後の展望」「老人性難聴の予防と対応」「難治性顔面神経麻痺の対応」「めまい・平衡障害に対する新規治療」を企画中です。このほか、公募セッションも募集します。特に、外耳道狭窄・閉鎖、老人性難聴の基礎、音響性聴覚障害の基礎、新規イメージング技術に関するものを期待しています。

また、今年の学会から若手を対象にYoung Investigator Awardを設けることを理事会に提案し、認められました。全医育機関から40歳以下1名の演題を推薦して頂き(演題は抄録提出時に論文発表されていないものに限り、症例報告は除きます)、抄録を企画委員会が予備審査し、上位評価された演題発表から審査して決定します。また、応募者の中から耳科学会での初めて発表で評価の高かった演題には「新人賞」も授与します。基礎、臨床は問いませんので、多くの応募をお待ちしています。
 一般演題は口演とポスター口演を予定しています。発生、再生医療、DDS、新規技術、生理(検査)、画像診断、奇形、難治性中耳炎、真珠腫、顔面神経麻痺、側頭骨腫瘍、感音難聴、遺伝性内耳障害、hidden hearing loss、中枢聴覚、耳鳴、補聴、人工聴覚器、手術手技、TEES、メニエール病、めまい・平衡障害、リハビリテーションなどに関する演題を募集します。
 教育セミナーは、従来、臨床中心でしたが、今回は基礎と臨床を3講義ずつ行うことにしました。この講義内容を耳科学会のHPなどから今後視聴できるように検討中です。内容は、臨床では「やさしい聴覚生理学」、「鼓室形成術のコツ」、「よくわかる聴力検査」、基礎では「マウスを用いた内耳の研究 -準備と方法-」「モルモットを用いた内耳の研究 -準備と方法」-「蝸牛細胞・コルチ器の培養と解析手法」を考えています。講習会は耳管ピン講習会を講義と実習形式で開催し、例年のように人工側頭骨を用いたハンズオンセミナーも開催します。このほか、各種委員会報告、専門医共通講習、ランチョンセミナー等を予定しています。

今回の会場は「パシフィコ横浜ノース」です。パシフィコ横浜の近くに新たにオープンした建物で、講演会場、機器展示会場などすべてを収容しており、会場内での移動がスムーズにできると思います。ウォーターフロントに位置し、横浜ベイエリアを一望できる素晴らしい会場であり、ぜひ現地に足をお運びいただき、学会を楽しんでいただければと思います。教室員一同、心からお待ちしております。

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