第125回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会

会長挨拶

猪原 秀典
第125回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・
学術講演会会長
大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・
頭頸部外科学教授

この度、第125回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会を大阪大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室が担当させていただくこととなりました。会期は2024年5月15日から18日、会場は大阪国際会議場となります。教室にとりましては2005年の第106回(会長、久保 武 第7代教授)以来19年ぶりの栄誉であり、本総会・学術講演会を実り多いものとするべく教室員が一丸となり鋭意準備を進めております。

宿題報告では、吉崎智一教授(金沢大学)が「上咽頭癌―発癌機構の解明が拓く新規治療の展望―」について、堀井 新教授(新潟大学)が「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)―基礎と臨床―」についてそれぞれご講演されます。また臨床講演では、大久保公裕教授(日本医科大学)が「アレルゲン免疫療法―基礎と臨床―」について、古川まどか部長(神奈川県立がんセンター)が「頭頸部超音波検査―私が追い求める理想の頭頸部がん診療―」についてそれぞれご講演されます。いずれも各先生がライフワークとして取り組んで来られた臨床・研究の集大成としてのご講演ですので、是非会場に足をお運びいただき、現地の張り詰めた空気の中でご聴講いただければと思います。

特別講演では、大阪らしい学術的なもの、文化的なものを企画いたしました。学術的なものとしては、西田幸二教授(大阪大学眼科学)、武部貴則教授(大阪大学器官システム創生学)のお二人に「ヒューマン・メタバース―iPS細胞を用いた疾患個体差研究」と題したご講演をいただきます。これは、文部科学省の2022年度世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI) に 大阪大学の「ヒューマン・メタバース疾患研究拠点」が採択されたことを受けてのものであり、オルガノイド生命医科学と情報・数理科学の融合により切り拓かれる未来の医療の息吹きを感じていただけることと思います。一方、文化的なものとしては、鳥井信吾様(サントリーホールディングス代表取締役副会長、大阪商工会議所会頭)に「サントリーのものづくりと鳥井信治郎の考え」についてご講演をいただきます。鳥井様は3代目マスターブレンダーでもあり、近年話題のジャパニーズウィスキーについても興味深いお話を聞かせていただけることと思いますのでご期待ください。

シンポジウム、パネルディスカッションでは合わせて11の企画を用意しました。私が座長を務める「近未来の耳鼻咽喉科医療の在り方ワーキンググループ」で取り扱うテーマを中心とした企画、即ち、いかに耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門性を高めプレゼンスを向上させるか、をテーマとした実践的な企画が主体となっていますが、一方で、基礎医学や留学をテーマとした企画も用意しています。また、教育講演、手術手技セミナーについては例年通り多彩な内容で用意しています。

特記すべきことに、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は2024年度から学術講演会の国際化を推進することとしました。これを受けて本学術講演会では、国際シンポジウムに加え、国際セッションを企画しました。国際セッションは一般演題の英語口演に該当しますが、喜ばしいことに当初の予想を大きく超える数の演題の応募に恵まれ、少数ながらも韓国や台湾からの応募もあり、俄仕込みの国際化元年としては上々の滑り出しとなりました。国際セッションではInternational Session Young Investigator Awardを設け、各群から1名を選考し、会員懇親会で表彰を行う予定としています。国際シンポジウムは5企画を用意していますが、アジア・オセアニア諸国から各領域のトップランナーを招聘しており、国内外のシンポジストによる競演が期待されます。国際シンポジウム、国際セッションともに使用言語は英語となりますが、国際シンポジウムではSクラスの同時通訳が入り、国際セッションの質疑応答では日本語も許容されますので、英語だからと敬遠することなく是非会場で国際化の風を肌で感じていただければと思います。

新型コロナウイルス感染症が5類に移行して1年経過したポストコロナでの開催となりますので、会場にお越しいただいた先生方にはプレコロナと同等の学会の雰囲気を存分に満喫していただきたいと考えています。開会式には西川きよし師匠が登壇されますので、大阪らしい笑いに満ちたオープニングをお楽しみください。また、ここでは「ラスベガスから逆上陸 イリュージョンマジックショー」とだけお伝えしておきますが、学会2日目には感動必至のショーもお楽しみください。夕方にはハッピーアワーと題して会場で様々なアルコール類をご提供いたしますので、アルコールで喉を潤し議論に花を咲かせていただければと思います。現地参加が難しい先生方のために、企画演題についてはオンデマンド配信を後日行う予定としていますが、可能な限り現地参加の上、学び、楽しみ、そして交流を深めていただければ幸いです。では、皆様のご参加を心からお待ち申し上げております。